2020‐10‐09

調査報告書の非公開は、学術機関として許されないのではないか?

それは、自ら定めている不正行為に関する大学規程
違反ではないか?
 早稲田大学が 公開している大学規程 
委員会は、調査報告書の公開を削除させる権利を「著作権」を根拠に有するのか?

大学の一委員会にすぎない学術研究倫理委員会は、大学規程を超越する独裁的権利をもっているのか?

   学術研究倫理委員会(委員長名)による「非公開」通知に関する異議申立・意見書2020‐03‐02(原則公開すべき文書
       ・・・最高裁への上告書類には含めることができた。しかし、憲法審のスタンスから、門前払いとなった。



「原朗氏を支援する会」は、2020年2月25日の学術研究倫理委員会の調査報告書を、その決定から7か月以上たって、公益(学術研究の健全な発展、学術研究の不正行為の正確な理解の社会的普及、学生・院生・研究者さらには社会に対し研究不正摘発の意義の周知徹底など)の観点から、公開に踏み切らざるを得なかった。

 しかし、10月9日、上記委員会(事務局)から、
削除要求文書が届いた。
 その要求の根拠としては、調査報告書を「非公開」としていること、調査報告書が使用許諾が必要な著作権の対象物であり、許可していないということであった。

 こうした主張は、学問研究の世界的ルールに基づく正常・健全な発展の見地から、学問研究の自由の見地、したがって憲法的要請からして、許容できることであろうか?

 「非公開」は、不正行為を隠蔽し、不正行為の正確な理解を妨げ、不正行為の再発を防ぐという大学学術研究機関としての責務に違反することではないか。

 しかも、大学の自治に基づき、自ら自主的独立的に定めている不正行為に反する大学規程を破り、破壊するものではないか?



小林氏VS原朗氏の「盗作か、創作か」をめぐる裁判で、地裁判決で原氏敗訴の後、原氏を支援する堀和生氏により、画期的な発見があった。(乙83 証拠資料・・・高裁提出)
小林氏が、北朝鮮の研究者の論文を文字数で48%、結論部分に至ってはほぼ100%、盗用しているという盗作事実の発見である。

それを、原氏側は2020年5月に高裁に提出した。 乙83証拠資料 堀和生「小林英夫氏盗作行為の起源」・付属資料一式。

しかし、高裁は、小林氏の学術研究倫理違反(1966年、その採録=再公刊2011年)の証拠となるこの重要な新証拠をまったく無視して(検討することなく)、地裁判決を容認した判決を出した。


他方、この乙83証拠資料は、2019年7月に早稲田大学の研究不正(盗作)案件として、通報された。

早稲田大学は、予備調査を終えて、本格調査に入り、2020年2月25日に、調査報告書を出し、小林氏による尹論文盗作を認定した。
すなわち、1966年から2011年までの長期にわたる小林氏の学術研究倫理の違反が、認定された。


2020年2月〜3月、原朗氏側は、上告中の最高裁に対して、新たに重要証拠資料として、この早稲田大学調査報告書を提出した。

しかし、最高裁は、憲法審であることを根拠に、新しい証拠群は単に「事実に関するもの」であるとして、憲法審での審議の必要なしと、6月15日付で、門前払いの判決を下した。



だが、学問内容の真実さをめぐる問題は、単なる事実に関する問題ではない。
司法が、対立する学問的主張(立証)に対して、一方に対し不公平に判決を下すことを許してしまうことになる。
学問的判決が求められる案件に、司法が介入して、不公正な判決を下すことを認めれば、学問の自由な発展は、ありえなくなる。

したがって、この盗作案件をめぐる司法の介入の在り方をめぐっては、今後も、論争となる論点である。


それは別として、盗作か否かをめぐる判定には、その一番の基礎として、事実の検証が前提となることは言うまでもない。

その事実の判定において、小林氏の学術研究倫理違反(1966年から2011年にわたる倫理違反)を立証した堀和生「起源」論文=小林氏盗作認定(2019年5月)、およびその通報を受けて学術研究機関としての調査を行って出した結論=小林氏盗作認定(早稲田の認定は2020年2月25日)を踏まえない限り、学術研究倫理の違反かどうかを判定することはできないはずである。


さて、早稲田大学学術研究倫理委員会は、この小林氏=盗作認定の調査報告書を、「非公開」とした。
これは、許されることであろうか?

学術研究倫理の正確な理解、学生・院生・研究者へのその正確な理解の伝達、その半面としての研究不正の具体例の解明と伝達は、学術研究機関としての責務ではないか?
にもかかわらず、それを非公開とすることは、いかなる理由によって、正当化されるか?

早稲田大学の大学規程における不正行為に関すrう諸規定をみれば、しかるべき公表は、当然のこととなっている。

学術研究倫理委員会の「非公開」との立場は、この自らの大学の規程を無視し、ないがしろにするものではないか?
それは、研究不正を闇のうちに置こうとするものであり、その非公開自体が、規程違反として、大学内外から断罪されるものではないだろうか?

早稲田大学学術研究倫理委員会が、「非公開」を正当化する理由として、2020年10月9日の「原朗氏を支援する会」ウェブ責任者につたえてきた調査報告書の削除要求は、使用許可を与えていない利用であり、著作権侵害に当たるというものであった。

この論理は、この盗作証拠をめぐる問題で、許される法の解釈であろうか?

「非公開」は、学生・院生・研究者に対する責任放棄であり、研究不正をおこなったものが、著作権を理由に隠蔽され、社会の眼から隠されることを意味しないか?

執るべき原則的態度は、大学規程にもとづき、公開することではないのか?